脱炭素経営支援システムとは、日立市が株式会社日立製作所の環境情報管理サービス「EcoAssist-Enterprise」を活用して、地域の中小企業の脱炭素経営の遂行を支援するシステムです。
自社のCO2排出量を可視化し、排出量の推移や削減目標の達成状況の把握、削減計画の管理を行います。
これまでにも、脱炭素経営支援システムは紹介していますが、今回はさらに詳しく紹介します。
脱炭素経営支援を推進している理由
日立市は、環境都市宣言に新たな命を吹き込み、その取組を一層推進する決意を新たにするため、2050年までに温室効果ガス排出量実質ゼロを目指す「ゼロカーボンシティひたち」の宣言を2022年3月に行いました。
「中小企業脱炭素経営促進コンソーシアム」の立ち上げ
「ゼロカーボンシティひたち」の実現に向け、日立市内中小企業の脱炭素経営の促進、また脱炭素社会の中で競争力を発揮するための支援を目的とし、産(大手電機メーカー、大手ガス会社)、学(大学)、金(金融機関)、官(行政機関)が連携するコンソーシアムを発足しました。
コンソーシアムでは地域企業の脱炭素化を促進するにあたりエネルギー使用量やCO2排出量等の「見える化」を第一に進める方針とし、令和5年より脱炭素経営の取組を管理する「脱炭素経営支援システム」の共用を開始しています。
ゼロカーボンの実現に中小企業の脱炭素経営が必要な理由
上のグラフによると、2018年度による日立市でのCO2分野別排出量の全体の約2/3を産業が排出していることが分かります。そのうちの約半分は実は中小企業が排出しています。
つまり、日立市では、中小企業の皆さんのCO2排出量を抑えつつ、今後の産業を支えていただくための成長を後押しする必要があり、まずは「見える化」の実施を皆さんにお願いしているところです。
そのため、CO2排出量を可視化するツールとして「脱炭素経営支援システム」を立ち上げました。
脱炭素経営支援システム 導入のメリット
① 月ごとのエネルギー消費量をCO2排出量として自動的に換算することで、見える化を図ることが出来る
②自社に即した省エネ施策を検討してロードマップを作成することで、計画的にCO2削減に取り組むことが出来る。
③CO2排出量の集計及びグラフ出力により可視化が出来ることで、自社の排出量のトレンドや課題を確認出来る。
脱炭素経営支援システムの使い方
データの入出力は全てExcelを用いて行い、環境データはクラウド上のデータベースに登録されます。
脱炭素経営システムを活用した脱炭素経営の3ステップ
脱炭素経営システムには「知る」「測る」「減らす」の3つステップがあります。
① 「知る」
月毎の各種消費エネルギー量を入力することで、自動的にCO2排出量に換算、数値化されます。
更にグラフ化することで容易に視覚認識することが出来ます。
<入力内容>
・会社情報登録…会社面積、従業員数(原単位算出のため)、電力契約内容など
・年度、月毎の消費エネルギー量入力 (電気使用量、重油・灯油、ガソリン等の燃量使用量)
<出力内容>
上記の内容を入力すると、年度、月毎のCO2排出量グラフが出力されます。
② 「測る」
基準年のCO2排出量に対し、将来的なゴール年度のCO2排出量の目標値を定め、各年における排出量の目標を立てます。
削減目標の達成に向けて削減施策の検討(約40種類の施策の中から自社に合う削減施策の選択)をして、ゴール年度までのロードマップ(工程表)を作成します。
<CO2排出量の年度ごとの削減目標の入力>
<CO2排出量削減施策の検討、ロードマップの作成>
③ 「減らす」
ロードマップで定めた削減施策の実行と、エネルギー消費量の入力を継続することで、CO2排出量の推移や削減目標の達成状況を把握し、削減計画を管理をします。
「減らす」ための支援メニューがあります
CO2排出量をの「減らす」上で、日立市・HITSでは以下の事業者支援を行っています。
日立市の脱炭素経営支援メニュー
【脱炭素設備導入補助金】
省エネルギー診断(後述)等で助言・提案等を受けた設備の導入・更新及び運用改善に係る経費の支援
【ゼロカーボンアクション表彰】
工場や店舗等の省エネ化や、資源循環に寄与する製品の開発や商品サービスの提供などゼロカーボンシティに貢献する取組への表彰
HITSの脱炭素経営支援メニュー
【省エネルギー診断】
専門家が事業所内の設備の使用状況や運転管理状況等を確認し、エネルギー管理状況の評価や既存設備の運用改善、高効率機器・設備導入を提案
【エネルギー使用量改善のサポート】
超音波カメラ、サーモグラフィーを使用して空気配管やエア機器からのエア漏れ、加熱・冷却設備の配管から余分なエネルギーの放出、電気設備の異常発熱を調査
脱炭素経営支援システムを導入している企業の声
丸善電機工業株式会社 主任 大町さん
脱炭素経営支援システムを導入したことにより、現在の状況を把握することが出来ました。
視覚化することにより、効果のあるもの無いものが明確になり、今後の具体的な目標、やるべきことの計画が立てやすくなりました。
また、会社側から社員の取り組み方を具体的に示せるようにもなり、社員自身も興味を持ち自分事としてとらえるきっかけになりました。
株式会社堀田電機製作所 顧問 小森さん
弊社では数年前から顧客要求によりGHG排出量を算出し報告してきました。
要求の都度、電力や燃料の使用量を集計し計算していました。今回脱炭素経営支援システムの表にそれぞれのデータを入力しておくことによっていつでも集計、計算できるようになりこれまで散在していた環境関連データの一元管理化も図ることが出来ました。
また、脱炭素活動の全体像を把握できた点も成果の一つになると思います。
国の脱炭素削減目標に対して、自社で実施可能性のある、或いは必要となる施策と費用の概略を知ることが出来ました。
今後の計画に役立てていきたいと思います。
脱炭素経営支援システムのお申し込みはこちらから!
>>>https://logoform.jp/form/tDgS/353002
【担当】
川野辺 直 kawanobe@hits.or.jp
砂押 泰久 sunaoshi@hits.or.jp
志和 響 shiwa@hits.or.jp
【TEL】0294-25-6121
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